ある夏の夕暮れ時に、おじいちゃんと犬と「ぼく」は、近所にまだ残るたんぼにお散歩に出かけました。ふと、草むらに潜り込んでみると、うわっ、カエルと目が合いました!そこでは、いろいろな生き物たちの世界が繰り広げられていました。
空を見上げると、夕方まだ少し明るい時はツバメが、そのあとはヤンマが夕暮れ飛行をしています。それが少し薄暗くなってくるといつの間にかいなくなり、気がつくとコウモリに変わっています、こちらに向かって飛来してきて、その顔がよく見えました。
いつしか、あたりは暮れなずみ、「ぼく」は虫の大合唱に見送られて、灯のともされた家に帰りました。
出かける時はまだ蕾だったカラスウリの花が、帰る頃にはレースの花びらを広げていたり、クズの葉も帰りには眠っていたり、実に細かくて正確な自然描写がなされていますが、見ていて懐かしさを覚えるのです。それは、高柳さんの自然にむけるやさしいまなざしと夏目さんのあたたかい絵のお蔭だと思います。
夏の夕方、ぜひこの本を片手にお散歩してみてください、きっと同じ情景に出会えますよ!
科学読物研究会、北島恵美子