2011年3月11日に発生した東日本大地震は、巨大な津波を発生させ多くの町や人をのみ込んだ。この体験を教訓として、ぜひ子どもたちにも読んでほしい本が本書である。その名も『知ってそなえよう!地震と津波』である。
最初に阪神淡路大震災の被害のようす、スマトラ沖地震の津波災害のようすが描き出されている。日本は過去何度も大地震に見舞われてきた。どうして、日本は今回のような大地震に見舞われるのか、最初に地球の解説から入っている。世界のプレート図と世界の地震発生箇所とがぴったりと重なる。おまけに日本列島に地震が多いのは、4枚ものプレートが複雑に重なり合っているためでもある。日本が〈地震大国〉である根拠がよくわかる。
この本は、津波に関する記載も多い。津波のこわさがリアルな絵で紹介されている。1896年の明治三陸地震の状況も例に出して、津波災害の恐ろしさが再現されている。津波のしくみについてもくわしい解説がある。最後の「津波災害を防ぐために」で、岩手県宮古市の大堤防や防災教育の事例も取り上げられている。今回の地震では、ここの防災教育のおかげで、多くの子どもたちの命が救われた
一家に一冊は置いて、時々みんなで読み返すようにしたい。
科学読物研究会 西村寿雄