スペース・シャトル打ちあげの朝、宇宙飛行士が目覚まし時計のベルで起きるところから、この本は始まります。まるで旅行の前にワクワクする私たちと同じようです。秒読みの後、打ちあげのはげしいゆれと、強くなる重力に緊張の続いたあと、打ちあげエンジンが止まると、突然、本や鉛筆が宙にうきはじめます。シャトルの軌道は、地球を一目で見わたせるほど地球から遠くなく、地球の自然の景観と文明のしるしをながめることができ、1日に16回の日の出、日の入り見ることができます。
宇宙での一番の楽しみは、みなさんの想像どおり、無重量(この本では無重力ではなく無重量ということばを使います)だそうです。なれてしまうと、部屋は壁や天井も使えるし、逆立ちをして、浮かんで寝たりできます。だから、人をけってけがなどさせないように、くつは、はきません。ぎょうぎの悪いことに食べ物をうかせておいて、宇宙飛行士を飛ばせてとるといった遊びもします。食事や寝る時間は、みな一緒です。見張り番をするのはコンピュータと地上のエンジニアです。
もちろん観測や実験などの重要な仕事もあります。シャトル内の作業は、ポロシャツと、たくさんポケットのついたズボン(必要な道具がうかんでいかないように)いう軽装ですが、外に出るには宇宙服を着なければいけません。宇宙服を着た作業でどんなに疲れても、宇宙飛行士は、シャトルへもどる前に、かならず空と地球をながめるそうです。
ほかにもトイレやおふろなど、宇宙での生活ってどんな風なの?という疑問に答えてくれます。出発から帰還まで、たくさんの写真をつかって説明されているので、読む人も宇宙飛行士になった気分になれるでしょう。
科学読物研究会 津久井 優子