火山が「めざめる」とは、どういうことでしょうか?
長野県と群馬県にまたがる浅間山がこの絵本のモデルです。浅間山は、過去に何度も噴火し、記録や地形から読みとける、昭和・江戸・平安時代、2万5000年前の4つの噴火について、描かれています。火山は普段は「しずかにねむって」いますが、ときどき「めをさまして」噴火するのです。
昭和時代はよく「めをさました」ので「みんな、火山の爆発になれて」いて、風向きを見て噴煙の流れを確認する人々や、火成岩を火種にお茶をわかそうとする登山者などが描かれています。それが江戸時代、平安時代の噴火になると、4日間噴煙を上げ続け、山のふもとまで溶岩が流れたり、火砕流が周囲の森や村を襲い、軽石と火山灰に何もかもが埋もれてしまったりと、爆発の凄まじさ、スケールの大きさが伝わってきます。そして、2万5000年前の大爆発と山体崩壊。すっかり変わり果てた山の姿や遠く離れた地層を埋め尽くした「土石ながれ」の様子が描かれています。
人々の服装や畑の作物、住居なども細やかに描写された絵からは、その時代の人々と火山との付き合い方もみえてきます。巻末にはそれぞれの噴火についての解説もあり、自然の営みである火山の噴火について理解や関心を深める助けとなるでしょう。
科学読物研究会 五味紀子