化石でしかお目にかかったことがないのに、恐竜ほど太古の世界への好奇心がかき立てられる存在はないかもしれません。この本は子どもから大人まで、それぞれの興味や知識に応じた楽しみ方ができる本です。
構成はシンプルで、項目ごとに見開き2ページ一杯に大きくて美しいカラーのイラストや写真があり、文章は簡潔ながらわかりやすく、最新情報も盛り込まれています。
内容は「地球の歴史と恐竜」「ティラノサウルスの研究」「恐竜の対決」「恐竜のことが分かってきた!」「鳥に進化した恐竜」「大量絶滅」の各章があり、地球の歴史を大まかに知ることで恐竜のことをより理解したり、進化や絶滅にも目を向けられます。ティラノサウルス好きの私は、骨格や歯、嗅覚、急成長の時期、羽毛、祖先アジア説などが興味深く、何度も読みました。この本は一回読んでお終いではなく、他のページの項目と見比べたり、関連に気がついて戻ったり…とマイペースで行ったり来たりとどまったりできる本なのです。
さらに楽しいのは「真鍋博士に質問」の章です。「これが聞きたかった!」という質問揃いで、真鍋博士は一つ一つにていねいに答えてくれます。「うむ」と納得したり、さらに自分なりの疑問や発展的興味がわいたりもするかもしれません。
前書きで真鍋博士は「地球の未来は人類の行動に大きな影響を受け」ていると述べ、恐竜の進化や絶滅から学び、「第6の大量絶滅に向かっている現在の地球を考えるきっかけにしていただけたら」と語っています。この本から刺激を受けて、私も地球の未来を考える時間や行動が少し増えたように思います。
科学読物研究会 市川雅子