摩擦とは、ものとものとがこすれあって、その動きを邪魔すること。その時、そこには熱が生まれ、電気が起き、音が出て、すり減るなど、いろいろなことが起こっています。
貿易摩擦などあまり良くないものとしてもイメージされることのある摩擦ですが、この摩擦は私たちの生活や暮らしをどれだけ豊かにしてくれているのでしょう。
紙に字を書いたり、それを消しゴムで消したり、当たり前のように思っているあれもこれも(私たちが歩くことができることさえも)、実は摩擦のおかげ。
この本では、そんな摩擦について、いろいろな現象や見えない原子の動きなども、シンプル且つ楽しいイラストを使って、わかりやすく解説してくれます。
また、レオナルド・ダヴィンチから始まり多くの研究者が摩擦の力に魅せられ、いろいろと重ねてきた実験や、摩擦力を小さくしたり大きくしたりするためにこれまで歴史の中でなされてきた工夫の数々の話も、とても興味深いです。
ヤモリが滑るフライパンの話や、定規の重心の見つけ方なども、なるほどと納得。コラム、欄外のミニ雑学も面白く、科学が苦手な人でも手に取りやすい本です。
シリーズに、ワンダーラボラトリ01『空気は踊る』、02『粒でできた世界』があります。
科学読物研究会 古屋ちえり