太陽が私たち地球上の生き物にとって、どれほどなくてはならないものなのかを実感する本です。「わたしは太陽。きん色にもえる星…」と太陽が一人称で静かに深く語りかけてきます。
太陽のひかりのエネルギーを使って、陸地でも海の中でも「光合成」が行われ、はき出された酸素が多くのいきものの命を支えています。
また、海のいきものの食物連鎖、命のくさりのはじまりは、植物プランクトン。私たちの肉眼では見ることができないくらい小さないきものです。でも、毎日私たちが吸う酸素の半分は、水の中をただようこの小さな植物プランクトンが作り出したものなのです。
文章量は吟味され少なめで、大型サイズの2ページ見開きの絵は動きがあって大迫力。まるで読んでいる私たちも海の中にいるようです。美しくダイナミックな絵から頭の中にダイレクトに海の中の営みのイメージが伝わってきます。深海にふりそそぐマリンスノー、海流や水の大循環、など海の中の命のつながりと太陽のひかりのエネルギーの関係が、難しい解説抜きで、すっと感覚でわかります。最後のページを読んで本を閉じるときには、ひかりとともに長い旅をしてきたような不思議な感動と満足感でいっぱいになりました。
この本には姉妹編として、太陽エネルギーについて書かれた『わたしの ひかり』と、陸での光合成について書かれた『いきている ひかり』の2冊があります。
科学読物研究会 市川雅子