「博士の愛した数式」という映画が上映されている。この映画では,数の不思議さと面白さを堪能させてくれる。『数の大常識』というこの本は,その映画ほどでもないが,数にまつわるちょっとした豆知識をコンパクトにまとめている。本来は,授業などでもっと感動的に学ぶとよい内容も多い。しかし,感動的な授業があまり期待できない現状の中,子どもたちに数の不思議さに少しでもふれてもらえるのなら,この本もいいのではないか。
「その1 数のひみつ」では,〈数字の始まり〉から,〈十進法のおこり〉,〈倍数と約数の話〉などがある。そのなかで,比較的おもしろいのは〈自然の世界でも見られるふしぎな数列〉と〈素数とセミのふしぎな関係〉だ。ケヤキの木の枝分かれが数学的とは興味深い。
「その2 単位のひみつ」では,連続量から生まれた単位の話がもりこまれている。「体から生まれた長さの単位」「穀物から生まれた重さの単位」「メートル法ってなんだろう?」など興味深い話もある。
「その3 計算のひみつ」では,数の不思議さにまつわる話が続いて出てくる。「友達の誕生日をあててみよう」というのは,よく数当てに使う二進法カードである。「数のピラミッドをつくろう」では,対称的な数字のピラミットが美しい。その他,〈小町算〉〈植木算〉〈つるかめ算〉や〈一筆書きのなぞ〉にもせまる。「マンホールのふたは,なぜ丸い」と,おもしろいテーマがつづく。
興味のあるところから,気軽に読んでいけばいい。
科学読物研究会 西村 寿雄