今年、「サンゴの白化現象が急速に進んでいる」というニュースを見ました。そもそも、「サンゴの白化」はどうして起こるのか、これも地球温暖化と関係しているのか、何か対策はあるのかと疑問に思い、手に取ったのがこの本です。

2021年5月、1450円+税
まずは、サンゴの基本情報。サンゴは、動物です。クマノミと相利共生しているイソギンチャクと同じ「刺胞動物門」というグループに属します。「刺胞」という針を持っています。
サンゴとは、動物としての呼び名。赤ちゃんの時は柔らかいお肉だけの体ですが、成長するにつれ、石灰質の硬い骨を体の中に作り始め、多様な環境の中で、枝状、塊状、葉状、テーブル状の形になります。そして、サンゴ礁とは、サンゴや星の砂(有孔虫)の遺骸が長い年月をかけて積み重なって作られた地形のことです。
いろいろな形のサンゴとサンゴ礁は多種多様な生き物の棲処となっています。
サンゴの多くは夏が始まる頃、一斉産卵を行います。同じ海域に暮らす同じ種は、同日の同時刻に卵と精子の塊を放出します。なぜ一斉産卵できるのか、その理由はまだわかっていません。巻末のQRコードや岩波書店のホームページから、サンゴの産卵動画を見ることができます。その数の多さに驚きます。
プラヌラ幼生となったサンゴは繊毛で泳ぎ、気に入った場所に着底します。その後、プラヌラ幼生は花型に変態し、ポリプと呼ばれます。ポリプが2個以上集まったものが群体です。成長し、他の群体のサンゴとぶつかるとサンゴどうしがけんかをするとのこと!
サンゴの大切なパートナーは、共生藻です。サンゴと、サンゴの細胞にまで入り込む共生藻がどのように近づくのかが、最近わかりました。しかし、サンゴと共生藻が接触し、防御機能が働かずにどのように体の中に取り込まれるのかはまだわかっていません。まだまだ、わからないことが多いですね。うまく共生関係が維持できれば、共生藻はサンゴの細胞の中でどんどん増殖します。
海水が高温になると、サンゴの体の中に棲んでいた共生藻がいなくなったり、共生藻の体の色素が失われたりします。サンゴの持つ本来の体の色が見える、これが白化です。大切なパートナーがいなくなると、栄養が取れず、サンゴは死んでしまいます。国連の2020年の報告書で、このまま化石燃料を使い続けて、さらに地球温暖化が進めば、今世紀の終わりにはすべてのサンゴ礁で白化が起こると予測されました。サンゴが全滅してしまうということです。
近年、サンゴの植え付けや移植が試みられています。が、サンゴは種によって、好きな光や水質、水の流れが異なり、別の場所に移植されても生き残るのは難しいとのこと。著者はここで、サンゴと同じようにアマモの植え付けも難しいと話されています。最近「ブルーカーボン」という言葉を知り、二酸化炭素を減らすために有効とのことでうれしく思っていましたが、それもただむやみに植えれば良いという問題ではないようですね。
簡単にサンゴが増やせないのなら、自然界にある貴重なサンゴ礁生態系を守らなければなりません。海中でのオシッコや日焼け止めも量が多いと影響があるそうです。
さあ、あなたはどんな方法でサンゴ礁生態系を守りますか?著者の提案もありますが、「皆さんのアイディアや研究をお待ちしています」という文で、締めくくられています。
(科学読物研究会 坂下智婦美)
出版社によるこの本の紹介記事は、下記のURLからご覧いただけます。
https://www.iwanami.co.jp/book/b577719.html
































