小さなものを観察するといえば、顕微鏡。そして、顕微鏡というと、理科の授業で花粉や気孔を観察する時に使う、あの立派な装置を思い出すでしょう。授業では、半ば義務感で緊張しながら扱い、楽しむどころではないかもしれませんが、それでも肉眼では見ることのできない世界が、はっきり大きく見えた時のうれしい気持ちは格別です。なぜなら観察するためのプレパラートの作り方からピント合わせに至るまで、とても繊細な作業で難しいところもあるから。
この本では顕微鏡の選び方や置き場所、セロハンテープを使う手軽な方法から本格的な方法までいろいろなプレパラートの作り方や、観察の工夫について、実際にできることが中心に書かれています。観察の楽しさはこの本を片手に実際にやってみることで実感できるでしょう。
著者も述べているように研究や学習のためではなく、好奇心を研ぎ澄まし、とにかく、顕微鏡を使いこなしてミクロの世界の観察を楽しむことに主眼を置いた本ですから、実際にいろいろなものを見てみたくなります。残念ながら現在品切れとなっているので図書館でどうぞ。
科学読物研究会 二階堂恵理