目には見えないけど、確かに私たちの周りに当たり前のようにある何か。空気と名付けたその何かの実態を明らかにしようと、ガリレオをはじめとする多くの科学者が取り組んだ長年の研究の軌跡を紹介する本です。それはとりもなおさず化学の研究の歴史の一端でもあります。
それぞれの科学者のエピソードとして断片的に知っていたことも改めて時を追って眺めると、それぞれの時代背景とともに科学者たちの息遣い、熱い議論も聞こえてくるかのようにも思えます。当事者が実際に手に入る道具や材料を使って、一生懸命に取り組む姿勢はいつの世も変わることなく。様々なアプローチで自分の信ずることを確かめていく地道な過程と豊かな発想、それに打ち込める幸せを語り継ぎたいものです。
これからを考える時、今に至るまでの過去をひもとく科学史・技術史の視点は、どの分野においても重要なものです。
科学読物研究会 二階堂恵理