本物の顕微鏡は高価で、取り扱いも難しいので、持っている子どもは少ないと思います。でも、かんたん顕微鏡の「30倍のライトスコープ」なら、安価(3000円ぐらい)で、取り扱いも簡単です。この本は、この「30倍のライトスコープ」を使って色々な物、印刷物やカラーテレビ・虫・花・花粉などを見ながら30倍に拡大されたふしぎな世界を見て行きます。ライトスコープというのは見るものの上から光を当ててそのまま見ることができ、ポケットに入るくらいの大きさです。
ライトスコープを用意したら、本に従って先ずはカラ−印刷された写真のところにポイントを当ててみて見ましょう! どのように見えるでしょうか?
ア、大きくなるから薄く見える?
イ、色が何色かにわかれて見える?
ウ、たくさんの点が集まって見える?
と、質問形式でお話が進んでゆきます。自分で予想を立てて、どうしてそう思うかなど考えながら、その謎解きをし、その過程で印刷物というものがどういうものであるか理解できるようになっています。
鉛筆やボールペン、赤鉛筆で書いた線はどのように見えるでしょう、実際に自分で書いてみて見ましょう。印刷物とはまた違って見え、不思議です。
また、身近にあるもの、例えば尖った針や虫ピンの先、バラのトゲやオナモミのトゲなど、尖って見えるでしょうか? 砂糖や塩は? 子ども達が大好きな砂鉄や砂は? 蝶の羽や触覚や足の先は? 何だか例を挙げるだけで覗いて見たくなりませんか。
著者の板倉聖宣さんは後書きの「ロバート・フックと顕微鏡」の中で、フックが顕微鏡を作りいろいろな物を覗いて絵を描いていますが、いつも「予想を立て」見ていたそうです。その結果これまでだれも気づかなかったことを発見しました。その一つが「コルクの細胞」の発見で、後に「コルクだけでなく動植物の体にはみな<細胞>というたくさんの小さな部屋が集まっている」という発見に繋がったと語っています。ライトスコープは丁度フックが使っていた顕微鏡と同じくらいの倍率だそうです。100倍もの顕微鏡になると見たいところにポイントを当てるだけでも難しく、30倍くらいが丁度いいといいます。かんたん顕微鏡の世界を楽しんで見ませんか。
ライトスコープは、理科の教材屋さんや、インターネット通販、東急ハンズなどで入手できます。
科学読物研究会 瀬間幸子