世界地図を見ていると、大西洋を挟んだアフリカとアメリカの海岸線が、ジグソーパズルのようにぴったりとあう、そのことからウェゲナーが大陸移動説を考えたというのは有名な話です。離れた大陸間で、共通する生きものの化石が見つかっているのです。元々はくっついていた土地が、何らかの事情で離れていったのだろうと考えられます。

楽しい調べ学習シリーズ
吉田晶樹/監修 PHP研究所
2023年2月、
3200円+税
でもウェゲナーの「大陸が移動する」などという考えはとんでもないとして当時の社会に受け入れられませんでした。大陸が移動するということがわかってきたのはそれから半世紀も後の1970年代のこと、私たちが立っているこの大地が、十数枚のプレートに乗っているというプレートテクトニクスが唱えられたのです。でも、なんでそのプレートが動くの?プレート同士がぶつかるの?と次の疑問が湧いてきます。本書はそんな疑問に丁寧に答えてくれます。
地球は真ん中から内核、外核、マントルがあり、その上に地殻があるのですが、地殻とマントルの最上部をあわせたものをプレートと呼んでいます。さて、その地殻ですが、大陸地殻と海洋地殻という2つのものがあり、大陸地殻は比較的軽い岩石から出来ているので主に標高0~1kmに、海洋地殻は重い岩石でできていて水深4~5kmの場所にあると、分布に高度差があります。実は地球が冷え始めた頃には、海洋地殻とマントルの上部からなる海洋プレートしかありませんでした。その海洋プレート同士がぶつかって一方が下に沈み込むと、その際に大量の水を放出します。水が含まれるとマントルは比較的低い温度で融け、軽い岩石は上昇、重いものは沈んでいきます。温度低下と共に、上のほうには大陸地殻を構成する岩石が集まり、これがくりかえされて大陸がだんだんと成長していったのです。なんと、大陸を形成するためには、水が必要だったのです。水の無い金星や火星では、2種類の地殻はできていないとか。水の惑星・地球と言いますが、水の存在が大陸を作るのにも関係していたとはびっくりでした。
このようにしてできた大陸はだんだん大きくなりますが、少しずつ動いて形を変えていきます。数億年の間隔で大陸同士が集まって巨大な超大陸を作り、やがてそれが分裂していくつかの大陸に分かれていきます。かつて存在していたと考えられているのは、コロンビア(ヌーナ)超大陸、ロディニア超大陸、パンゲア超大陸です。その前にも超大陸があったようで、今でも研究が続けられています。現在の地球上の6つの大陸は、パンゲア超大陸が約2億年前から分かれ始めてできてきました。これからどうなるのか、気になるところです。これまでの超大陸サイクルから考えて、今から2~3億年後にはまた大陸が集まって超大陸を作るだろうと考えられています。
では何故、大陸がこのように移動していくのでしょう。大陸地殻や海洋地殻を乗せているプレートは、その下にあるマントルの対流によって動かされています。地球は中心に行くほど高温で、内核で5000~5500℃、マントルの底面では3700℃になります。マントル上面では地殻を通じて海面や大気で冷却され、マントルの下部と上部の温度差は3000℃にもなるそうです。そのため、プレートの下ではマントルによる大きな対流が起っていて、それがプレートを動かし、大陸の移動の原動力になっているのです。
それだけでなく、超大陸が数億年ごとにできたり分裂したりするのにあわせて、地球全体が氷に覆われた氷河期なども現れているらしいこともわかってきました。地形の変化が地球の気候にも大きな影響を与えるのですね。もちろん、生物が現れてからは、生物の進化、多様性なども大陸の移動に大きく影響されました。
46億年前、高温のマグマの海で覆われていた地球。やがて雨が降り、海ができ、大陸ができてきました。地球の内部に閉じ込められた熱はその後も大陸を動かし、生命を作り、また絶滅させ・・・すべてのことが、互いにつながって「今」という流れをつくっているのです、なんという壮大な物語でしょう。自分もその大きな流れの中の一コマを生きているということが、不思議に思えます。
(科学読物研究会 小川真理子)
*科学教育研究協議会(科教協)が編集する月刊誌『理科教室』の2023年10月号から、許可を得て転載したものです。
*出版社によるこの本の紹介記事は、下記のURLからご覧いただけます。
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-88100-3
































