「きょうは、おとうさんと国立科学博物館にきました。《ではじまるこの絵本は、その文章横にある時計が示す午前9時少し前から、最終ページの時計の午後5時までの、博物館の1日を描いた絵本です。東京の上野にある科学博物館を訪ねて、その展示を実際に見て回るような感覚で、博物館について学ぶことが出来ます。
恐竜の展示室で、研究員さんにそのお仕事について尋ねるページでは、恐竜化石の発掘の様子や発掘に使う道具、化石のクリーニングやレプリカの作り方など、博物館の展示を見るだけでは分からないことも教えてくれます。展示室に化石や復元骨格が並ぶまで、たくさんの仕事があり、たくさんの方が関わっているのですね。
『地球の多様な生き物たち』の展示室の、巨大なマッコウクジラを見るページでは、マッコウクジラを砂に埋めて微生物に肉や皮を分解させて2年半後に掘り起こすという骨格標本のつくりかたに驚くことでしょう。展示物の掃除の様子など、著者が実際に科学博物館で研究員さんに聴いたお話が具体的に絵と言葉で説明されていて、わかりやすく、面白いです。
全球型映像施設「シアター36〇《(サン・ロク・マル)、レストランや売店の紹介もあり、国立科学博物館をめぐる楽しさを再現しています。科学博物館に興味のある人も、まだない人も、この絵本で博物館の裏側をのぞいて、ワクワクしませんか?
科学読物研究会 五味紀子